ちょっとシニカルであたたかなダーク/コープス・ブライド
さて、本記事が私の記念すべき1記事目のブログです。
前々からブログをやりたいと思っていて、私自身も文章を書くのがとても好きだし、苦にならない質です。でも書こう書こうとは思っているんだけど、なかなか一歩目が進まない。あるあるですよね。私は私の好きなように自由に書く事を大切にしたいし、そうする事で私自身も楽しくて満足する。
ということで、記念すべき1通目は大好きな映画について書きたいと思います。
私のお気に入りの映画。
ティム・バートンのコープス・ブライド
ティム・バートンといえばディズニーランドにあるアトラクション、ナイトメアビフォアクリスマスがとても有名で、コープスブライドという作品については知らない人も多いかもしれない。
内容に踏み込むからある程度のネタバレは避けられないですが、もしこの記事を読んでくれた人がこの作品を見てもきちんと楽しめるように、最低限のネタバレに留めつつ書いていこうと思います。
主人公であるヴィクターは、序盤からとても臆病で情けない性格として描かれている。
彼はヴィクトリアという女性と結婚することが決まっていて彼女との結婚式にむけて準備をするんだけど、彼は結婚の誓いを間違わずに言ったり、式の手順を決められた通りに行うことができない。
要するに、鈍臭いんですよね。
この点、私はすごくシンパシーを感じました。
人は自分に似た人/似た物を好きになることが多く、好きなアイドルや芸能人、小説に至るまでどこかしらシンパシーを感じるからこそ好きになる。かくいう私自身も鈍臭いところが大いにあります。
そしてそんなヴィクターはこれまたひょんなことからコープスブライドであるエミリー(なんと死者!)に対して結婚の誓いをしてしまうことから物語は動き始めます。
さて、この物語を私流に要約するなら、「ちょっとシニカルであたたかなダーク」です。
あたたかい、なのにダークです。
相反する性質ですが、その相反する性質がとても美しく溶け合い、かと言って完全に混ざり合うこともなくマーブル状のように調和しているんですね。
コープス・ブライドは全体を通して少しシニカルです。
まずヴィクターはとても鈍臭い。
鈍臭いし、の世界に戻ってヴィクトリアと結婚するためにもっと頑張りなよ…!なんて観てる方は思うんだけど、やることなすこと上手くいかないし、しまいにはエミリー(コープスブライド)と親交を深めちゃったりする。
近道、要領がいい、なんて言葉はヴィクターとは無縁。
見ているこっちが冷笑的な眼差しになるという意味での「シニカル」さ。
でも、ヴィクターはとてもあたたかい人柄なのが滲み出ている。
そう言った意味での「あたたかさ」。
コープスブライドは灰色の世界だし、死者の世界が出てくるし、なんだかちょっとおどろおどろしい。そういう意味でダークな世界観だし、ヴィクターの両親を含め地上に出てくる登場人物は軒並み冷たい人柄です。格式張っていて威厳がある。そこにあたたかみなんてものはなくて、死者の世界の方がよっぽど楽しくてあたたかみが感じられます。
「ポジティブシンキング」と聞くと良いことのように想像するけれど、実際は良い作用ばかりじゃないのも現実です。鬱病などの心の病を抱えた人に「頑張ろう」という言葉が禁句なように、ポジティブで前向きな言葉では癒せない心だって沢山あります。
だとしたら、少し沈んだ心、憂鬱な心、どうしても頑張れない。力が出ない。
そんな状態の心にダークな雰囲気を纏ってそっと寄り添い、副作用がでないくらいの「あたたかさ」をそっと心に注入してくれる。
そういう、穏やかで優しくて、そしてちょっとダークな映画が、「コープス・ブライド」です。
真夜中に少しお酒を飲んだりしながら、ひとりっきりで観るのだって似合う。
落ち込んで憂鬱な気分の時にも、ぜひ観て観てください。ちょっと心が浄化されるはずです。